人間万事塞翁馬 78 ちょっとした宴の席。 笑い声と、話し声が耳に入ってくる。 いつもなら楽しいって思えるんだけど、今日は違う。 あの時からずっと、私は気持ちが治まらない。 10日前のあの時から。 人が真面目な話をしてたのに、最後の最後でアレ! なに、アレ! 本当、信じられない。 心配してやってるんだから、とか、そういう事を言いたいんじゃないの。 心配してるのは私が勝手にしてることだから、いいのよ。 そうじゃなくてね…! 「。郭嘉殿と、何があったんだい?」 唐突にそう声を掛けられて、私は横並びになっている二つ隣の席の伯寧さんを見た。 同時に、手前に座る荀ケさんと荀攸さんとも目が合う。 一様に、心配そうな、だけどどこか困り顔をしている。 ああ空気悪くしてるんだな、と自覚して、同時に自分に最低だ、と吐き捨てた。 「ごめんなさい、何でもないんです」 「…何でもないって、」 「本当に、何でもないんです。すみません」 何か言いたげな伯寧さん達に、構わず私は頭を下げた。 どっちにしたって、あの話は…恥ずかしいし、情けなくて、出来ない。 それに、どんな顔して話せばいいの、そんなこと。 無理だから。 そう思っていると、気配が近づいてきて同時に賈詡さんの声がした。 言いながら、私の目の前でしゃがみこむ。 「そう言うんなら、。いい加減、昼間の機嫌を直してくれんかねえ。俺も荀攸殿も、居辛くて堪らん」 「賈詡殿…!」 「なんだ、荀攸殿。本当のことだ。これがまだ続くってんなら、とてもじゃないが仕事に集中できん。そうだろう?」 ため息混じりに賈詡さんがそう言うと、荀攸さんは何も返さず口を噤んだ。 私もまた、返せる言葉が見つからなくて、ただ皿の並ぶ卓上に視線を落として押し黙る。 仕事中の自分の行動を思い出しながら、なんて最低で下らないことをしてるんだと、何度も心で呟いた。 最中、4人の会話が飛び交う。 伯寧さんが言った。 「賈詡殿、それは…」 「事実だ。口も利かない、目も合わせようとしない。なあ、荀攸殿」 「………ええ、まあ……、それは事実です」 「勤務中…に…ですか?」 「ああ。そうだよ、荀ケ殿。何か言ってやってくれんかねえ」 「「「…………」」」 「それは重症だな……。、一体郭嘉殿と…いや、郭嘉殿に何をされたんだい?そういうことだろう?」 伯寧さんの問いかけに、私はもう一度視線を上げた。 賈詡さん達を順繰りに見てから、最後に伯寧さんを見る。 心配そうな顔をしている伯寧さんと目が合ってから、すぐに私は視線を逸らした。 それから一度息を吐き出す。 「本当に、何でもないんです。仕事に私情を挟むなんて…子供じゃあるまいし……最低です、すみません。しっかりします」 「…そうじゃなくて…」 「おや。揃いも揃って浮かない顔をしているね。今日は葬儀の席だったかな」 気配と同時に、件の人の声がする。 顔を上げると、杯を片手に涼しい顔をした郭嘉さんが目に入った。 さっきまで、曹操さんに呼ばれて席を外していたけど、用が済んだみたいだ。 ただ、私は今までの話もどこへやら、一気に感情が昂ぶって不快な気持ちが込み上げてきた。 顔も見たくない。 思わず顔を逸らした。 意識しているわけじゃないのに、眉間に力がこもる。 賈詡さんが郭嘉さんに向かって言った。 「丁度、あんたの話をしていた所だ、郭嘉殿」 「ふうん。私の話…、満寵殿が怖い顔してるって事は、まあ何となく想像できるけれど…何の話かな?」 「想像できるなら話が早い。郭嘉殿、君一体に何をしたんだい?」 「いいんです、伯寧さん。大したことじゃないですから…もう、放っといて下さい」 「、あんたも引かないねえ。さっきも言ったが、大したことないならさっさと機嫌を直してくれんかね」 「まあまあ。の言うとおり、大したことではないんだ。ねえ、?」 郭嘉さんが悪びれもなく、そう私に言う。 私は顔を合わせずに、ただ相槌だけ打った。 「…そうですね」 君が言うなよ、とは思ったけど。 もう、本当に、なんで…。 そう思っていると、郭嘉さんが続けて言う。 「ということで、この話は終わりにしよう。大したことではないよ、ただキス、しただけだから」 「キス?」 賈詡さんが、鸚鵡返しに呟いた。 けど私は、自分の中で何かが崩れていくような、脱力感に似たそんな感覚に襲われて、暫く反応が出来なかった。 その間にも、郭嘉さんがまるで何かの雑談でもしているかのように言う。 「口付け、のことだよ」 「く……、あんた、まさか…本当に…」 「そんなに大袈裟なことではな無いと思うのだけれど…、まあ断りもいれずにしたものだから、それで怒っているのかな、は」 「……っ」 思わず、卓上に両手の拳を打ちつけそうになるのをぐっと堪えた。 周囲の笑い声を聞きながら、叫びそうになるのを抑える。 だけど、やっぱり抑え切れなかった。 無意識に、その場に立ち上がる。 郭嘉さんへと視線を向けた。 いつも通り、涼しい顔をしている。 怒りで、身体中が震える。 身体は叫ぼうと、一気に息を吸い込んだ。 だけど、ここで水を差すわけにはいかない。 一度奥歯をかみ締めて、堪えてから少しずつ息を吐き出した。 「…最低ですっ……」 搾り出すように言って、私の足は勝手に回廊へと向かった。 ただ、ともかくそこじゃない別の場所へ、今は行きたかった。 宴会の賑やかな音や声は、もう、私の意識の中には入ってこなかった。 * * * * * * * * * * 生暖かい空気に、冷たい風が混ざっている。 昼間は随分暖かくなったけど、夜はやっぱり風が冷たい。 一度ため息を大きく吐き出してから、回廊の欄干に寄りかかって月を見上げた。 半分より少しだけ欠けた月が、夜空に浮かんでいる。 ため息が、また出た。 「何してんだろ、私…」 ちゃんと割り切れない自分が情けない。 何にしろ、取り乱してしまった自分が情けない。 そもそも、考えれば考えるほど何故自分がここまで不快感を抱くのか、明確な理由が分からなくて、情けない。 キスぐらいしたことあるし、挨拶代わりだと思えば、いくらでも割り切れるハズ…なのに。 あのタイミングで不真面目なことをされた。 それはそれで腹立たしいけど、今までの経験を考えるとここまで不快に思ったのは、多分初めて、だと思う。 不真面目なことされたぐらいなら、大抵は一晩でどうでも良くなるから。 もう終わったことだし。 なら、なんで今回はこんなにずっと不快に感じるの。 …何かを私は信じてたから? 何を? 不真面目だけど、本当は真面目な所だってあるってこと? …いや、不真面目でしょ。 馬鹿にされたと思った? ……まあ、それもあるかもしれないな…。 人が真面目な話してるのに、って思ったって事は、多少そうどこかで感じたんだろう…。 だけど…。 「…なんか、もう、どうでも良くなってきたな…」 「それは聞き捨てならないね」 不意に郭嘉さんの声がして、欄干に寄りかかっていた身体を起こす。 そちらを振り向くと、郭嘉さんが立っていた。 月明かりに照らされた姿は、やっぱり男の人だっていうのに綺麗だと思う。 アレが無ければ、ただそれだけ思って終わりだったんだろうけど…自然と眉間に力がこもる。 視線を元に戻すと、暫くして郭嘉さんが私の横に並ぶように、欄干に寄りかかった。 「どういう意味ですか、それ」 「折角、が私を気にかけるようになってくれたのに、どうでもいいだなんて言われたら捨て置けない」 視線を向けずに言うと、そう悪びれもなく郭嘉さんの声が返ってくる。 頭の中でその言葉を一度反芻してから、思わず呆れて隣の郭嘉さんを見上げた。 「それ…、もしかしてわざと論点外してます?」 笑顔だけ返された。 ため息混じりに目を閉じて、それからゆっくりと目を開ける。 電気なんかなくても、月が出てれば意外に明るいんだと知ってから、どのぐらい経ったかな。 庭木のシルエットを見つめながら口を開いた。 「とりあえず、誤解してるみたいですから言っておきますけど…私、郭嘉さんのことはどうでもいいだなんて思ってませんからね」 何の反応も返ってこない。 構わず、そのまま私は続けた。 「どうでもいい相手と、仕事以外でお酒飲みに行ったりなんてしませんし、当然心配したりもしません。だから、私が勝手にしたこと、謝る気はありません。受け止め方は、それぞれだと思いますけど」 「は謝って欲しいのかな」 変なことを言う、と思いながら郭嘉さんを見るといつもと変わらない笑みを浮かべている。 視線を逸らさずに答えた。 「いいえ。郭嘉さんがそうしたいなら聞きますよ。とりあえず、勤務中にまで私情を挟んで周囲に迷惑かけたことだけは、皆さんに対して謝りたいと思ってますけど」 「らしいね。けれど、今のところ私への特別感、というのは全く感じられないかな」 「…私、いつ郭嘉さんへの特別扱い、みたいな話したんですか」 呆れて答えるも、笑みを深められただけで郭嘉さんからは何の言葉も返ってこない。 私は思いっきりため息を吐き出した。 話にならない…。 本当にもう、なんでもいいやと思いながら、私はもう一度郭嘉さんを見た。 「とりあえず、もう私は気にしませんから。その代わり、また次やったら、一生口利きませんし、顔も合わせませんからね」 「と私は同じ職場で、上司と部下、なのだけれど」 「恥を忍んで曹操さんに頭下げますよ、職場変えてくださいって」 「ううん。曹操殿なら冗談抜きで聞きそうだね……も今回ばかりは本当にやりそうだし、それは困るかな」 と、頭をひねる郭嘉さんに、私は呆れるしかなかった。 判断基準は一体、どこにあるのこの人。 仮に一万歩譲って私に気があるとしても、普通、嫌われるようなことする? しないでしょ、一般論的に考えて。 嫌がることをするって、幼稚園生か。 もし、そうだとしたら……、呆れてものも言えない。 まあ、でもとりあえず万が一にも私がその対象になんてなる筈がないんだから、それはないでしょうね。 本当に何がしたいのかしら…。 『お互いの成したいことを成すために、その才の使いどころを委ねてはくれないかな』 とか言ってたくせに…。 「何か言いたげだね、」 いつのまにか、じっと見つめていたらしい。 それに気付いた郭嘉さんが目を細めて顎に手をあてた。 私は首を横に振る。 「いえ。特に何もないです。ただ、相変わらず郭嘉さんの真意がよく分からなくて呆れてました」 「そうかな。私はいつでも、に思いを伝えているはずなのだけれど」 「………そうですか。すみません、理解力がなくて。ということで、私はもう戻りますね」 ずっと、この何だかよく分からないやりとりが続きそうで、私は強制的に打ち切ることにした。 郭嘉さんの前を通って回廊へ進む。 油鐙に燈された火が風を受ける。 影が揺れた。 「」 数歩進んだところで呼び止められて、後ろを振り向く。 唐突に、郭嘉さんが言った。 「過去に、同じようなことがあったと、あの日ふと思い出してね」 じっと私を見てくる郭嘉さんに、私は向き直ってから数秒黙る。 「……そうですか。…それで、その人はどうしたんですか?」 「私を平手で打った後、涙を浮かべて去って行ったよ」 悪びれもせずそう答えるので、私はまた呆れた。 「…それが普通だと思いますけど。向こうだったら訴えられて捕まってますよ」 「ううん。君との事がなければ、あとにも先にも、それ一回だけだったのだけれどね」 「………皆さん、頭おかしいんですか。私には理解できません」 「そうかな」 「そうです」 視線の先の人は、笑顔を崩さずに眉尻だけ下げた。 生きてる次元が違うのかもしれない。 内心、そう思う。 いや、今までも何度か思うことはあったけど。 勤務外で飲みに行くときは違うのにな…何なの。 それから郭嘉さんは言った。 「その子はね、確かに私に気があったのだけれど…、どうしてだと思う?」 なんでそんな質問いきなりするんだ、と思いながら私は答える。 「…どうしても何も、いきなりそんなことされたら、普通は平手の一発ぐらいは食らわせたいと思うでしょうね……。ああ、他の方は違うんでしたっけ…」 思わず額に手を当てる。 私とその子だけ別次元の人間かしら…。 「後になって聞けば、順序が違う、と。…ふふ、見た目も全く違う子だけど、それを思い出したら、何となくと似ていると思ったよ」 「…何が言いたいんですか」 「その子とは、結局仲良くなれたのだけれどね」 「よかったですね……それで、結局何が言いたいんですか…」 「もその子と同じではないのかな」 その笑顔。 本当の本当に、この期に及んでこの人は何がしたいの。 ていうか、その子も他と同じかい…。 何回、私はため息ついたのかしら。 ため息だけで死ねそうだわ。 「お生憎様です。私は郭嘉さんにそういう感情は抱いてません、悪しからず。気も変わりません。遊ぶなら他所でしてください。寝言なら寝てから言って下さい。以上。戻ります」 もう付き合いきれない、と私はそのまま回廊をいつもより広い歩幅で歩く。 たまにこういうことがあると、やっぱりまだ苦手かもしれない、とため息を吐き出した。 * * * 暫くしてから、が戻ってきた。 静かに腰を下ろしてから自分の杯に、これまた静かに並々酒を注ぐ。 そして、静かにその全てを飲み干した。 それを言葉も発さず、ただ見守るだけの荀攸殿達を一度確認してから、俺は、今まさに杯を卓に置いたへ向かって言った。 「もう話は済んだのかい?」 一拍置いてから、が視線を上げる。 普段どおりの表情(かお)だ。 笑顔を作って言った。 「はい。皆さんにはご迷惑をおかけして、申し訳なかったです。とりあえず、話は済みました…ですけど、やっぱり今日一晩は無理かもしれません」 そう澱みなく言って、はにっこりと笑う。 何を話してきたのかは知らないが、逆に恐ろしさを感じるのは俺だけか? ふと、荀攸殿たちの顔を盗み見ると、どうやら俺だけでは無さそうだと内心、何故か胸を撫で下ろす。 不意に、が言った。 「さて、飲みなおしましょう。お腹空いてきましたし」 誰かにというより、自分自身に言っているようだ。 女官を呼びつけて酒瓶を受け取っている。 所作はいつも通り綺麗だが、凄まじい早さで皿の上が片付いていくのを俺は呆然としながら眺めた。 声を掛けられるような雰囲気じゃない、それこそ。 呆気にとられていると、郭嘉殿が姿を現す。 こちらも普段どおりだ。 何事もなかったかのようにの目の前に腰を下ろして、酒瓶を手にする。 僅かに掲げた。 「仲直りの印に受けてくれるかな?」 「…、いいですよ」 一拍ほど置いてから、そうは返してさも当然のように郭嘉殿のそれを受ける。 あおって空になった杯を下ろすと、同時に郭嘉殿がやってきた女官から新たに杯を受け取った。 がその杯に酒を注ぐ。 それをあおぐ郭嘉殿にが言った。 「遊びは程々にして下さいね、身体壊しても知りませんから」 「それなら遊びではなくて、今度は本気で行こうかな」 「…さっきも言いましたけど、もしまた同じことしたら、本当に一生、口もきかないし、顔も合わせませんからね。周りから何と言われようが、全身全霊かけて職場変えますから」 「肝に銘じるよ」 そう郭嘉殿は返して、それから杯を手にしたまま曹操殿のもとへと去って行った。 その後姿を見送りながら、が呟くようにして言う。 「全く…向こうだったら警察に捕まってるところよ」 俺はそんなを一瞥してから杯に口をつける。 そして思い出した。 十日前に、たまたま耳にしたの言葉。 もうあの時代には戻れない、という言葉。 あの”時代”? 俺はがどこか別の、東の海を渡った地にある国が出身だ、としか聞いていない。 訳あって、ここに来たのだ、と。 ただ、途中気付かれそうになって直ぐにあの場から離れたせいで前後の話は何も分からんが、恐らく郭嘉殿は事情を知っているだろうし、目の前の三人も知っているだろうと思う。 ――だが、だとしても、だ。 …時代? そんなもの行き来できるものなのか? 俄かには信じられん。 しかし、そういう前提で考えるとの、この少し浮世離れした感じは納得できる気がする。 …もしこいつを、俺が質問したらは答えてくれるのか? ……いや、だがそれを知ってどうする。 知って、俺はどうするんだ。 切羽詰まったような、その時のの声を俺は思い出した。 「賈詡さん」 急に呼ばれて我に返る。 視線を上げると同時に、が目の前に腰を下ろした。 「あ、ああ…。…何かね、改まって」 「この十日間、ご迷惑おかけしてすみませんでした。それから…、さっきは色々と指摘して下さり、ありがとうございました」 そう言って、は俺に頭を下げた。 この、妙な律儀さがこそばゆい。 「あははあ、そんなもん礼を言われたりする程のもんじゃない。俺が自分勝手に好き放題言っただけだ。だから、頭なんか下げんでくれ」 「いえ。賈詡さんが指摘して下さったから、改めて自分を考え直せたんです。仕事を共にする上で、言いにくいことをはっきり指摘できるというのは大切なことだと私は思っています。気付かせていただいたことに感謝します」 「…あんたも全く律儀な人だ。もう少しいい加減でいいんじゃないかい」 「私、結構いい加減ですよ?」 さも不思議そうな顔をして首をかしげる。 思い出してみても、のいい加減さは俺には思い浮かばなかった。 まあ、意外にきっぱり諦める潔さはあると思うが…。 「そうかい。なら、あんまり考え過ぎなさんな。あんたは眉間を寄せて難しい顔をしているより、笑っている方がよっぽどお似合いだ」 「……驚きました。まさか賈詡さんにそんなこと言われるなんて」 と、本当に驚いたような顔をしてが俺を見る。 バツが悪くなって、俺は手を振った。 「そりゃ悪かった、驚かせるつもりはなかったんだが…そんなに意外、だったかねえ」 「ええ、まあ…あまり、そういうことは気にしない方なのかと思ってました」 「あんた…一体、俺のことどう思ってるんだ」 額に手を当てると、一拍置いてからが言った。 「自由奔放な皮肉屋さん」 褒められている気はしない。 別に褒められたいわけでもないが…。 皮肉屋…否定はしないが、喜べばいいのか? 「いやだ、そんな難しい顔しないでください!嘘です、冗談です。実は真面目で優しい方だと思ってます。前にも言いましたよね、私」 「たしかに、そう聞いたね。真面目だって。だが、どうとも思っていない、と聞いていたが」 「あれは少し意味合いが違うでしょう?」 「あははあ、確かにね。けど…、やっぱあんた、もう少し勉強した方がいい」 そう返すと、はふっと、優しく微笑んだ。 程なく、が立ち上がる。 顔は向こうを向いていた。 夏侯淵殿が酔った勢いのままを呼んでいるらしい。 その背を見送って、全く賑やかだ、と思いながら杯を口につける。 調子狂わせな御仁だ、と俺は内心呟いた。 「まったく、何者なんだかねえ」 口内で独りごちて、酒と一緒に飲み込んだ。 つづく⇒ ぼやき(反転してください) メンタル強いのか弱いのか分かんない夢主 次からは強制的に下邳です 下邳…! 2019.02.15 ![]() |
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