私が思っている以上に周りは私を心配してくれているんだ、と気づいた 私に何が出来るんだろう 心配させたくはない、けど、やれることはやりたい 折り合い付けるのって、本当どこの世の中でも難しいよね 人間万事塞翁馬 21 私は勢いよく身体を起こした。 嫌な汗を全身にかいている。 肩で息をしている。 徐々に一回の呼吸を長くして、気持ちを落ち着かせる。 幕舎をひとつ借りている。 だけど、ほぼ地べたに寝ているのと変わらない。 ただ、数人で雑魚寝よりはマシだった。 そこは本当に感謝だ。 軍を率いる将でもないのに、一人でひとつ、使わせてもらってるんだから。 ――荀攸さんを助けた時のこと、正確には敵を手に掛ける瞬間の、夢を見た。 それをしたのは一昨日だ。 昨日の夜も同じ夢を見た。 今日、私たちは彭城に到達する。 ここに来るまでの間に最初の相手以外にも何人か手に掛けた。 だけど、夢に見るのは最初の相手だけだった。 「夢…夢、か……こういう覚悟もしてはいたんだけどな…実際となると、結構参るね…」 独り言をつぶやきながら両手に視線を落す。 思っていたより、なんてことはない感触だった。 少し重くて、筋を断ち切っていくような感触。 よく切れる現代刀だったからなのか、それは分からない。 他に経験は、当然ないんだから。 手は小刻みに震えている。 ぎゅっと強く握る。 それでも震えは止まらなかった。 目を逸らそうとは思わない。 自分がやると決めてしたことだ。 きっと、彼…いや彼らにも、帰りを待つ人はいたと思う。 その人たちの事を考えると、どうしようもない気持ちになる。 だけど、そこまで考えてしまうのは、ちょっと違う気がする。 相手だって何かしらの覚悟はしている筈だ。 例え、していなかったとしてもそれは私が責任を取る事じゃない。 はた、と東平でのことを思い出した。 そうか、この相手があのときの私か。 殺した相手があのときの私で、殺した私はあの時のあの男だ。 死ぬ覚悟も何も出来てなくたって、その場にいる時点でそんなものは関係なくなるんだ。 でも、だからって私は相手の事を哀れだとは思わない。 あの時の私と同じだからって、そこに囚われるつもりも無い。 残された家族が恨むと言うのなら、私はそれを受け入れる。 寧ろ、それしか出来ない。 少なくとも、今の私にはそれしかできないから。 だけど、じゃあ恨み晴らすために死んでくださいって言われたとしても、それを受け入れる気は毛頭ない。 やることがあるんだ。 それじゃ、本末転倒だもの。 どこまでも恨まれようと、大人しく死んでやる義理はない。 結局、人間なんてどこ行っても、どこに居ても自分勝手なんだなと思う。 それは変わらないんだ。 同じ人間だから当然かなあ。 けど、これだけは言いたい。 罪悪感だとか、そういうものから逃げたいから、そう思うんじゃない。 何かを難しく考えることが、逆に逃げてるだけの時だってある。 私はただ、現実を見ていたい。 現実を、私がしたことを、ただ理解して認めたい、事実として。 ただ、それだけだ。 目を逸らしたくない、現実から。 私はその場に立ち上がった。 「…お風呂に入りたいな、いい加減」 呟いてから、幕舎の中で用意された水を使って顔を洗い身形を整える。 それから幕舎を出た。 何となく、明るい。 すごく明るいわけじゃない、だけど視認はできる。 その程度の明るさだった。 まだ起床時間ではないせいか、見張りの兵以外、人はいない。 陣の周囲を囲う木柵の手前で足を止めて伸びをした。 私が向いている方向が東だ。 向こうの山の奥が、ぼうっと明るい。 日が登ろうとしている。 なんとなく足元を見た。 どんぐりが転がっていた。 それを一個拾い上げて辺りを見回すが、どんぐりが生っていそうな木は見当たらない。 どこから転がってきたのかは分からなかった。 私は木柵の横桟に両肘を預けながら、どんぐりを指で弄んだ。 組んだ腕に顎をのせて木柵によりかかる。 無意識だった。 「どんぐりころころどんぶりこ〜おいけにはまってさあたいへん〜どじょうがでてきてこんにちは〜ぼっちゃんいっしょにあそびましょ〜」 幕舎を出てきたよりも、少し明るくなってきたような気がする。 大分辺りが白んでいる。 何となく、気持ちも晴れる。 「どんぐりころころよろこんで〜しばらくいっしょにあそんだが〜やっぱりおやまがこいしいと〜ないてはどじょうをこまらせた〜……はぁ…」 「その歌は、向こうの歌か?」 「うひゃあ!」 急に後ろから声がするもんだから、私はびっくりして身体を起こした。 後ろを振り向くと、そこには文則さんが立っていた。 私は心臓辺りを手で押さえながら体勢を立て直す。 どんぐりはびっくりした拍子にどっかへ転がっていった。 「び、びっくりした〜お、おはようございます、文則さん」 「うむ、おはよう。驚かせてすまぬ。ところで、はここで何をしている?」 「い、いいえ。目が覚めてしまったので、気晴らしに散歩です。文則さんは?」 「私は見回りだ。警戒を怠るわけにはいかぬ」 「そ、そうですよね……邪魔になると困るので、戻りますね」 そう言って、文則さんの横をすり抜けようとしたとき、文則さんが私の左肩に手をのせた。 私は立ち止まって、文則さんを見上げる。 こちらを見下ろしながら文則さんが言った。 「少し、話をせぬか?」 言うや、視線を真っ直ぐに戻す。 私はそんな文則さんに疑問符を浮かべながら、はい、と答えた。 文則さんが、木柵の方へ数歩歩み寄る。 私も、その横に並ぶようにして同じ方向を見た。 一拍おいて、声が降ってくる。 「話を元に戻すが、さっきの歌は向こうの歌か?」 私の耳は、例に漏れず熱くなる。 俯いて答えた。 「そ、そうです。子供が歌う歌です」 「…わらべ歌か」 「そうですね…ど、どこから聞いてたんですか?」 私は文則さんに質問した。 ほんと、どっから聞かれてたんだろう…。 「おいけにはまって、からだ」 渋い声で、そのフレーズを…。 いや、例え棒読みでも、なんだ、すみません。 なんでか私が恥ずかしくなってきた…。 …じゃない、ていうか、それ…。 「ほぼ、全部ですね…なんで途中で声掛けて下さらなかったんですか…!」 私は顔を両手で覆った。 口ずさんでた私が悪いけど。 「邪魔をしては悪いと思ったのだ、すまぬ」 顔を上げると、バツが悪そうにしている文則さんが目に入る。 流石にそれを見ると、私が悪い気がしてきた。 ていうか、私が悪い。 手を振って言った。 「いえ、すみません。勝手に口ずさんでた私が悪いです、逆に気を遣っていただいてありがとうございます」 「いや…うむ」 お互い一度黙りこくる。 話題を探していると、文則さんが口を開いた。 「ところで、その歌の続きは?」 「え?いえ、二番までしかないです。あれで終わりです」 「そうか」 それからまた黙ってしまった文則さんに今度は私が質問する。 「どうかしましたか?」 「いや、泣いているどんぐりは帰れぬのか、と思ったのだ」 「ああ、そういうことですか。ん〜、まあしょうがないですよね、帰る手段がないですもん」 私は深く考えずにそう言った。 だから、文則さんにその質問をされたとき、しまったと思った。 「は…山が恋しいとは思わぬか?」 びっくりして、私は文則さんを見上げた。 相変わらず眉間に皺を寄せてたけど、それでもなんか、ちょっと違う顔をしてた。 私は地雷踏んだ!と思いながら激しく手を振る。 「え、いや、ごめんなさい!私、そういうつもりで言ったんじゃ…ていうか、そういうつもりで口ずさんだわけじゃ……!」 だけど、文則さんは私を見下ろしたまま、何も言わなかった。 多分、私の気持ちを聞きたいんだ、と思った。 私は、息を静かに吐きながら、一度落ち着く。 視線を正面に戻して、自分の中を整理した。 「私は…正直なところ、今は何とも思っていません。とりあえず、ここに立っているので精一杯…なんだと思います、多分。だったら、向こうにいても、ここにいてもやることは同じ。私がやると決めたことをやる、それだけです」 「私は、詳しいことを知らぬが……無理はしておらんのだな」 詳しいことっていうのは、多分私が仕官する覚悟決めた前後の事だと思った。 恐らくだけど、文則さんは郭嘉さん辺りから私が同行するってことだけを、聞かされたんじゃないのかな。 もし、東平にいた時に伯寧さんから話を聞いていたなら、きっと全部知ってる気がする。 伯寧さんなら、何となく文則さんに話をしている気がするんだ。 そう思った。 顔を上げて文則さんを見上げると、文則さんは私をまっすぐ見ていた。 私は、その目を見て頷いた。 「伯寧さんにも、それ聞かれました。無理はしていないです。私がそうしたい、ただそれだけです」 「そうか、ならばいい」 文則さんは短く答えて、視線を正面に戻した。 私もまた、正面を見る。 深く突っ込まずにいてくれるのは、きっと文則さんの優しさなんだと思う。 私が思っている通り、きっと不器用なんだろうな、と思った。 ただ、なんとなく、そう思った。 太陽が山から出始めている。 眩しく輝くそれが、少しずつ昇っている。 あまりの眩しさに、目を細めた。 兵達が起き始める音がする。 誰にでもなく、ただ自分に言い聞かせるために言った。 「……現実から目を背けたくない。目の前で起きていることから、逃げ出したくない。それが現実なんだと、認められる自分でいたい。じゃなきゃ、何より自分を信じられない」 息が少しだけ、詰まるような、そんな感覚を覚えた。 私は…無理をしているんだろうか。 向こうにいた時も、同じように感じたことはいくらでもある。 その度に私は、踏みとどまれるならそれは無理ではない、と自分に言い続けた。 だから、今回もそうする。 踏みとどまれるなら、無理じゃない。 きっと、まだ無理はしていない。 一拍おいてから、文則さんが言った。 「頑張れとは言わぬ。無理をするな、無茶をするな。今は、それだけだ」 「ありがとう、ございます」 私は正面を見たまま、ただそれだけ答えた。 大丈夫、なんとかなる。 少なくとも私はここで生きてる。 経験することは、向こうで経験することと比較にはならないと思うけど、現実から目を背けなければきっと大丈夫。 まずは、私が出来ることから少しずつ。 それからどうするか考えたって遅くはない。 夢の中でさえも悩むほどのものなら、尚のこと私は目を背けるわけにはいかない。 この経験が何に繋がるかは分からないけど。 今は、やることをやろう。 ――無理って、なんだろう。 それから私と文則さんは別れて、それぞれの持ち場へ戻った。 支度を整えて、馬に跨る。 彭城を目指して馬を駆けた。 * * * * * * * * * * 彭城の南門から攻める。 曹操さん達との合流は果たした。 各軍、彭城のそれぞれ東と南の二門に分かれ攻めている。 曹操さん達の方は、荀ケさんと夏侯惇さんが小沛を攻めているらしく、埋め合わせのため于禁さんが東門へ向かっていた。 城を攻めるって、本当難しいんだと思いながら、私は刀を振るう。 何かを考えている暇なんかない。 後ろを振り向くと、郭嘉さんの背中を狙う敵兵の姿。 私は地を蹴った。 「郭嘉さん!」 言いながら、その敵兵を切り伏せる。 郭嘉さんがこちらを振り向いた。 「私がに守られるとはね」 「油断大敵ですよ」 「も、ね!」 そう言いながら、郭嘉さんが私の背後に向かって棍を突き出す。 私の顔の横で棍が走る。 何だかすごい音がしたと思って後ろをちらっと見ると、敵兵の喉笛にそれがヒットしていた。 …こわ…私が言うのもなんだけど、容赦ないね……。 どうなっているかなんて、何も言うまい。 恐ろしくて口に出来ないわ。 「あ、ありがとうございます、郭嘉さん」 「これでお互い様だね。今にいなくなられたら、私は困るんだ。それは分かるよね?」 私は郭嘉さんと背中合わせになりながら、敵から目を離さずに答えた。 「残念ながら分かりません、どういう意味ですか」 「言葉のままだよ。早く分かって欲しいな」 「善処します」 「らしい、ね!」 そう言うと、郭嘉さんは踏み込んでその正面の敵に殴り掛かる。 私は自分の肩越しにそれを一瞥した。 本当に言っている意味がいまいちわからないんだけど、と思う。 私の身をとりあえず預かっているのにいなくなったら曹操さんに怒られるから、かなあ。 と、他に思いつかず首を傾げる。 目の前の敵の喉元に刀を突き刺し、抉るようにして素早く抜いた。 今はとりあえず、考えるのをやめよう。 あと、人と思わないようにしよう、これは敵、ただの敵なんだ。 私は奥歯を噛みしめた。 * * * * * * * * * * それから暫くして、彭城は下った。 陶謙は敗走して、下邳へ退却したそうだ。 彭城の中を郭嘉さんのちょっと後ろをついて歩いている。 郭嘉さんは荀攸さんと何か話しているみたい。 私は周りをきょろきょろと見回した。 負傷した兵が腰を下ろしている。 …まあ、普通怪我するよね。 私、どれだけ奇跡的なんだろう。 …ていうか、軍師さんちもミラクルだわ。 そんなことを思い出しながら歩く。 「おい、ちょっとそこの!」 その時、どこからか声がした。 私は立ち止まる。 「おい!」 もう一度声がしたので、辺りを見回した。 ふと、私に向かって手招きをしている兵士が一人目に入った。 城壁にもたれ、足を投げ出して座っている。 私は当たりをきょろきょろと見回してから、その兵士に視線を戻して自分を指差す。 私ですか? すると、うんうんと頷いてさらに手を招いている。 私は、郭嘉さんを見た。 立ち止まって、まだ荀攸さんと話をしている。 二人ともこちらに背を向けていて気づいていない。 「はやく!」 その兵士に急かされた。 あまり離れるわけにはいかないのに、なんで私なんだ…と渋々兵士に駆け寄った。 さくっと終わらせて、すぐに戻ろう。 「私に、なんの用ですか?」 「わりいね。あんたに折り入って頼みごとがあるんだ」 そう言って、男は座ったまま私を見上げて両手を合わせた。 私が訝しむと、男はそろそろと立ち上がる。 「ここじゃなんだから、ちょっと外に出よう」 言って、男は”外”を親指で指示した。 私は男を見上げながら眉根を寄せる。 いつだか、向こうの繁華街を歩いていた時に遭遇したナンパ男を思い出した。 「それは駄目です。私はここを離れられません、ここで話してください」 「いいから、いいから!」 言うや、男は私の手を強引に引っ張って城外へ連れ出した。 駄目だっつってんだろ、言うことを聞けよ、またデジャヴだよ。 私はそう思いながら、だけど掴まれた手に籠る力があまりに強くて、やたらに抵抗は出来ないなと思い直し、ひとまずは従うことにした。 とりあえず、お前の上司は誰だ、と内心悪態を付いたのは当然と言えば当然だった。 「よし、ここらでいいな」 よし、じゃねえ。 私は男が放した手首をさすった。 ちょっと赤くなってるじゃん。 加減を知らんのか、この男は。 「実は、この書簡を小沛の荀ケ様のところへ持って行ってほしいんだ、いいだろ?」 言って、男はなんの前触れもなく私に竹簡をずずいと押し出す。 や、いいだろ、じゃないでしょ。 それが人に物を頼む態度か? 「良くないですよ。それはあなたの仕事でしょう?なんで私がする必要が?」 答えると、男は腹をさする。 「いや、実はさっきの戦で腹を陶謙軍に突っつかれてな、痛くてたまんねんだ。とてもじゃねえが、小沛までなんていけねえよ。だけど、これは荀ケ様になんとしても渡さなきゃなんねえ、そこであんたに頼みたいんだ」 「…私じゃなくても、他の人に頼めばいいじゃないですか。ていうか、あなた、どなた様付きの兵士さんですか?」 そう質問すると、男は少し浮ついたようにしながら答えた。 「う、于禁様のところです」 「そうなんですか。ぶん…じゃなかった、于禁さんのところの」 流石に自分の上司を、行き成り現れたみたいな小娘に文則さん呼ばわりされたら微妙だろう、と思い私は言い直した。 と、同時に今までの事を思い出しながら、文則さんの部下にこんな顔の人いたかな、と考える。 まあ、人数多いから、全員網羅はまだしてないけど。 仕事柄、顔とか覚えるのは割と得意な方なのよね。 「そうだ。こんなことで完遂できなかったなんて知れたら、俺どうなることか…だから頼む!かわりに行ってくれ!」 私は眉根を寄せた。 なんでそうなるの。 だから、人に物を頼む態度…。 「いや、ちゃんと理由があるならしっかり話せば分かってくれるでしょ。于禁さんだよ?自分の上司だよ?やましいことないなら、ちゃんと事情を話して他の人をしっかり立ててもらった方がいいでしょ。それで身体が治ったら、改めて他の任務をこなせば心配ないと思うけど」 「そ、そんな恐ろしいこと、俺にはできねえ!頼むよ!俺のかわりに行ってくれ!」 そう言って、何故かすがりついてくる男に、私は不快感を隠さなかった。 ていうか、前面に出した。 こういう、シャキッとしないの、本当ムリ。 そもそもの話、こいつ本当に文則さんのところの部下か? とてもじゃないけど、こういうことする辺り、信じられないんだけど…。 百歩譲って、新人なのか…? いや、新人にそもそもなんとしても届けないといけないような重要文書の伝達役って頼むかな…? 「あのねえ…だから、それはムリだってば。私だって自分の持ち場を離れるわけにはいかないの。私が出来ることは、せいぜい于禁さんに一緒に事情話しに行くことぐらいだよ」 「そこをなんとか〜!」 地面に両膝をついて祈りをささげる男に私はただ呆れた。 と同時に、やっぱり、なんかひっかかる。 私は男の目を真っ直ぐ見ながら言った。 「…なんか、ちょっと怪しいよね。そこまで必死になるの。なんか、隠し事してない?あなた」 「ひ、ひどいですぜ!俺は何も…!!」 男の目を覗きこみながら問いただす。 男は身ぶり手振りで否定するが、それが怪しい。 目を合わせようとしない。 動きも不自然だし。 どう見ても、確定だな…。 ついでに、隠し事は’仮病’じゃない。 向こうで仕事していた時も、隠し事してるヤツっておんなじ感じなんだよね。 絶対、目を見ようとしない。 仮病の奴は、大体大げさに痛いところアピールするし…例外がない分けじゃないけど。 とりあえず、伊達に○年社会人しながら、人事、営業、監理者、現監―現場監督のこと―してないわよ。 少数精鋭の中小企業従業員なめんな。 それに、さっきだって上司誰だって聞いたら、即答できなかったし。 それちょっとおかしいでしょ。 自分の上司ぐらい、ぱっと答えられない?普通。 まあ、ともかく。 それらから察するに、絶対、こいつは仮病以外の何かを隠してる。 そういう勘も働いてる。 間違いない、こいつは黒だ。 …けど、これ以上は私ひとりじゃどうしようもできないし。 となれば、選択肢は一つだけだ。 「わかった…とりあえず、それ貸して。私が行くから」 「信じてくれるんですね!あ、ありがとうございます!」 私は男から竹簡を受け取る。 とりあえず、これ、このまま郭嘉さん達のところに持ってこう。 専門家が見たら何か分かるでしょ。 餅は餅屋、よ。 それに、なんだかんだで結構な時間経っちゃってるし。 勤務中に無断でいなくなるのはまずいわ。 それから、まだ地面に両膝をつく男をそのままにくるりと背を向けて右足を一歩踏み出した。 そのとき、左足を思いっきり引っ張られてその場に顔から突っ込みそうになる。 咄嗟に竹簡から手を放しギリギリで受け身を取った。 おかげで顔面衝突は免れたが、転んだことに代わりはない。 「いった!ちょ、ちょっと…何なの、いきなり!」 言いながら身体を仰向けに起こそうと両腕で身体を持ち上げた時、急に後頭部辺りに衝撃が走って私はそのまま意識を手放した。 しまったと思いながら、最後に見えたのは中に何も書かれていない竹簡だった。 つづく⇒ ぼやき(反転してください) 思っていた以上に痛い系、流血系、グロ系の表現が多くて自分でもびっくりです さらに、次の次あたりはヒロインがとんでもなく痛い目見るので、どうしましょう 波乱万丈すぎでしょ… そして、どんぐりの歌はもともと別の物にしようと思ってたんですが 調べたら著作権ひっかかるので、やめました わたしが部類?の唱歌童謡好きなので、フリーになってるのが多分またそのうち出てきます いいですよね、唱歌とか童謡って…文章が綺麗で 2018.04.04 ![]() |
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