事難からざれば、以って君子を知ること無し






戯家の愚人 ― 官渡之戦・前 ―













、まだ身体が万全ではないのではないか?」



李典からの言葉に、戯ははっと我に返った。
ここは官渡に築かれた砦の中の陣営である。
袁紹との決戦に備え、曹操が念入りに築かせた砦だ。
ここには李典の他、曹操を筆頭に郭嘉、荀攸、楽進、張遼、関羽と言った面々が諸武官と共に居並び、黄河を挟み対する袁紹軍との攻防について軍議の只中にあった。

は李典に視線を向けると首を横に振る。
そして言った。



「いや、そういう訳では…」



確かに、李典の言うとおり長く関羽の元で軟禁されていたせいか、戯には以前ほどの体力はなかった。
だが、それも許昌へ復帰した直後の話だ。
既に三月(みつき)を数えた今は、以前と殆ど変わりがないほどに回復していた。
かなり無茶な方法で鍛え直しはしたが、不調とは無縁だ。
痛めた胸は今では何とも無いし、食欲もある。
強いて言うなら、連続で重ねられる仕合の数が数回減ったぐらいだろう。
しかし、それもすぐに回復するに違いなかった。

それよりも、何より戯が気にしていたのは、袁紹との戦である。
李典が声を掛けるほどに戯が上の空になっていたのは不調によるものなどではなく、袁紹から曹操へと書簡が送られてきた日のことを思い出していたからだった。

それといえば、もう三年も前のことだ。
にとっても忌々しい、宛城でのことがあってから、一月二月(ひとつきふたつき)が過ぎようとしていた頃、突然その書簡は届いた。
袁紹から、旧友曹操への手紙、という形だった。
だが、その内容といえば、手紙というほど穏やかなものではない。
それは、曹操のみに及ばず、その父、曹崇や祖父である曹騰、曹家一族をなじる様な、聞いているだけで気分を害する、そんな、絶縁書ともいえるものだった。
文章の構成から、書いたのは袁紹本人ではなく、陳彬であろうことは直ぐにそこにいた何人かは理解できた。
そして、曹操が戯に読み上げさせたそれは、その場にいた誰をも怒らせ、そして誰もの肝を一気に冷やした。
己の主君が、お怒りになる、と。
しかし、当の曹操は初めこそ目の色を変えていたが、戯の声が止むと同時にぱたりと消沈して見せ、直後にその場の全員を下がらせるに至る。
これには誰しもが、予想していないことだった。
無論、それは戯も同じだ。
曹操の言葉通り、下がっていく官達は、房を出るや声を抑えて口々に言った。



『宛城でのことがまだお心残りなのだろう』

『あのように落ち込まれて、お怒りになる気力すらまだお持ちになれずにいる』

『無理もない。あまりにも衝撃が強すぎたのだ、丁夫人からの風当たりもお強いと聞く』

『期待しておられたご子息をあのように無くされてはな…』



回廊を歩きながら、それを耳にした戯は、その時思った。
恐らく、理由はそれではないだろうと。
きっと主公は大将軍との戦を先読みなされたに違いない。
このような手紙を送りつけてくる、ということは大将軍はそのつもりでいるのだ。
そこを読まれ、その先を読まれ、結果一気に行き詰まれたのだろう、とそう直感していた。

曹操とて人の子だ。
今尚、兵力差は著しい。
戦は兵数だけでその勝敗が決まるわけではないが、こうも差が歴然としていれば誰であろうとその先を憂うだろう。
そのときも、ここに至る間にもそう思うことはあったが、実際、その袁紹と相対する今、やはりこの大きな兵数の違いは少なからず焦りを生んだ。
一つ気を抜けば、飲み込まれるに違いない。
だが、それでも袁紹には弱点がある。
そこを着実に突いて行く他ない。
ただ冷静に広く戦場を見つめ、機に応じて物事を進めるしかない。

曹操が戯に向かって言った。



「ほう。ならば何を考えていた?



その言葉に戯は曹操へ視線を向けた。
皆が戯に視線を注ぐ。
は今一度姿勢を正すと、拱手して言った。



「東郡太守殿をお救いする方法を」



ほんの一瞬、空気が変わった。
東郡太守というのは劉延のことだ。
その劉延が駐屯している白馬が、袁紹軍からの激しい攻撃を立て続けに受けており、そろそろ二月が過ぎようとしている。
曹操はなんとしてもこれを救援したいと思っていたが、兵力差が著しく手を出せずにいた。

僅かにざわつく中、郭嘉と荀攸だけは顔色を変えなかったのを戯は視界の端で確認した。
曹操が身を乗り出す。



「救えるのか、劉延を」

「はい」

「だが、本初との兵力差…まともに当たっては勝ち目はないぞ」

「ですから、一計を案じます」



そう戯は告げると、不意に荀攸へと視線を移した。
つられて、曹操もまた荀攸を見る。
二人の視線を受け、荀攸はほんの僅か目を見開くと、すぐさま柔らかく笑みを浮かべそれから拱手して言った。



「恐れながら、相手の兵の数が勝るのならば、それを分散させればよろしいかと」

「どうすればよい」

「はい。延津より兵を渡河させ白馬を攻める敵の背後を突くよう見せかけるのです。そうすれば、敵は必ず兵を割き西へ向けるに違いありません。その上で手薄になったその隙に、軽鋭の兵を以ってこれを攻めさせます」

「なるほど…本初ならばそのように動くに違いない。敵の注意を逸らし、気付かれる前にその不意を突く。そういうことか」

「はい。さすれば、敵将顔良を捕らえるのも容易でしょう」



曹操は、荀攸に注いでいた視線を戯へと戻した。
は、曹操のその眼差しを真っ直ぐに見返す。
皆がそれを見守る中、射抜くような視線のまま曹操は戯に向かって言った。



。これらの策、実行するに誰が適任だ」

「恐れながら申し上げます。延津より渡河するは、于平虜校尉、楽討寇校尉の両名が適任と存じます。この両名ならば、敵も白馬救援の策とは思わぬでしょう」



于平虜校尉とは于禁、楽討寇校尉とは楽進ことのである。
于禁はこの場には居らず、延津の守備にあたっていた。
曹操は僅かに頷くと、再び戯に問うた。



「白馬は如何する」



変わらぬ視線に、しかし、戯もまたその目の色を変えなかった。
瞬きもせず、真っ直ぐに見返してくる戯の瞳を曹操はただ、じっと見つめた。
が口を開く。



「白馬へは…、主公自ら軽鋭を率い、関偏将軍と張中郎将とを主力にこれを攻める。それが最善と存じます」



関羽は曹操軍の捕虜となった後、曹操によって偏将軍に任命され、その客将として礼遇されていた。
張中郎将というのは、張遼のことである。
暫く、沈黙が流れた。
そして、俄かに曹操が声を上げる。



「皆、聞いたな。此度は公達との策を採る。文謙は至急延津へ向かい、事の仔細を文則に伝え任にあたれ。文遠、は白馬攻めの準備をすすめよ。奉孝、公達は俺と共に来い」



字(な)を呼ばれたそれぞれの声が重なった。
そして、一人。
曹操は、わざと残したその一人――関羽に視線をやった。
関羽は胸を張り堂々として曹操の視線を受ける。
数拍置いて、曹操は二歩、前に出た。



「雲長…そなたの働き、期待しておるぞ」

「お任せあれ」



関羽は拱手して、そう力強く答えた。

劉備の居場所が分かれば、関羽はここを去る。
それでも、共に戦場を駆けることができる。
それがこんなにも自分を高揚させるものなのか、と複雑な気持ちを抱きつつも、戯はそう思った。
そしてそれは、張遼、関羽も同じ気持ちである。
同様に、曹操もまた同じ思いを抱いていた。
袁紹との兵力差は歴然として、ともすれば不安に駆られる今にあって、それらを払拭するような関羽の存在は何よりも心強いと感じた。
同時に、関羽と戦場を駆けるのだ、と心の一部は浮き浮きとしている。
関羽との約を違える気は元よりないが、それでも矢張り、劉備がこれからもずっと見つからなければいい、と心底、曹操は願った。

それから、残された者に曹操は一通り指示を出すと、散会の号を発し営舎を後にした。
その後を追って退舎していく郭嘉達の背を戯はじっと見送る。
数歩先に立っていた張遼は、そんな戯を数拍見つめたあと、息を吸い言った。



殿。我らも参ろう」



張遼の言葉に戯は視線をそちらに向けると、小さく頷く。



「ああ。行こう」



その言葉を待っていたかのように、いつのまにか入り口でこちらに背を向け立っていた関羽が、再び一歩を踏み出した。
そんな関羽の背を見て、張遼と戯はどちらともなく顔を見合わせる。
お互い、僅かに表情を緩めると営舎の外に視線をやり、それから歩みだした。
そこを出る二人の眼光は、既に遠く白馬へ寄せる袁紹軍を攻めるように、鋭くも静かな色を湛えていた。




















――立夏を過ぎた。
何もしていなければまだ過ごしやすいが、行軍していると鎧の中は汗で蒸すほどだ。
流れる汗が不快に感じることもあるが、得物を振るう今、そんなことは気にもならない。
ただ、目の前の敵を斬る。
関羽は偃月刀を横一線に薙ぐと、同時に視界に入ったそれに気付いた。
視線を上げる。
それは、確かに顔良の居所を示す大将旗だった。
今や愛馬となった赤兎の腹を蹴り、関羽はそこを一直線に駆ける。
あまりの気迫に、敵味方関係なく誰もがその道をあけた。
目前に迫る大将旗。
顔良が名乗りを上げ手にした得物を振り上げた瞬間、関羽はその心臓を一突きにした。
一瞬のことだった。
身体が倒れる間際に首を切り落とし、偃月刀に掲げる。
関羽は声を張り上げた。



「敵大将顔良、関雲長が討ち取ったり!」



味方の歓声と共に、敵兵は皆、色めき立った。
諦めからか、得物を投げ出す兵もいた。
その様を眺めながら、やっと視界にとめた一人を関羽はじっと見つめる。
視線の先、敵兵に投降を促すその人物は戯だ。
馬上にあるその人は、やはり鎧を纏っても尚美しいと思う。
佇まいが美しいのだろう。
過日の宴席の着飾らぬ振る舞いも、何故か美しいと思った。
いつか抱いていた不快な思いは、気付いた時には無くなっていた。
劉備の居所が分かれば、自分はすぐにでもここを発つ。
その為にも、曹操への恩に報いるため功を立てねばならない。
報を聞かば、直ぐさま発てるように。
だが、戯と戦場を共にしているとそれが惜しいとどこかで思う。
同時にそれが、関羽を劉備に対して後ろめたい気持ちにさせた。
いっそ、戯が自分と共に劉備の下へ参じてくれれば、どんなにか自分にとっても劉備にとっても喜ばしいことだろうか、と思わずにはいられない。
だが、それは叶わぬことだ。
例え共に戦場を駆ける間柄になれたとて、自分と同じように揺らがぬ思いをその心に抱いているからこそ、彼の人はどこまでも美しいのだと関羽は思っていた。
そうでなければ、自分がこのような思いを抱くはずもない。

天を仰ぐ。
いつか眩しく見えた青空は、戦場に舞う砂埃で霞んでいた。




















夜空には薄っすらと雲が浮かんでいるようだった。
雲間から瞬く星が時折それまでよりも強く光を放つ。
郭嘉は、それを一頻り眺めてから無意識に深く、ため息をついた。

ここ、延津へ袁紹が攻め来る。
一報を受け考えた結果、延津(ここ)は放棄することになった。
今の自軍の状態では抑えきれない。
それでも、初戦は上々と言えただろう。
白馬では敵大将顔良を、ここに至るまでの間に敵将文醜を討ち取ることが出来た。
荀攸の、輜重隊を囮に敵を挫くという策が功を奏したのだ。
色めき立った文醜の軍を打ち破るのは実に容易だった。
また、白馬の敵の引きつけ役を担った于禁と楽進の軍が対岸の黄河沿いを西進してそのまま袁紹軍の別営を攻め、汲と獲嘉の二県にあった三十余りの陣営を悉く焼き払い、これらに駐していた何茂や王摩といった将らを降伏させたのも自軍の士気を上げるには、実に良かったといえる。
だが、西に東に南にと未だ乱の火種を残す曹操軍にとって動かせる兵の数はそれほど多くはない。
三方を牽制しつつ強大な袁紹の軍と当たるには、策をいくら巡らせても限られた駒の数では難しいものがあるのも事実だ。



「それもまた、一興、だな」



思わず一人ごちる。
この状況を楽しめる人間など余程の物好きに違いない、と郭嘉は自嘲気味にふっと息を吐き出した。
と、その時。
急に鼓動が乱れる。
息苦しさを覚え、前合わせの辺りを鷲掴んだ。
ここ最近、こういうことが多くなった。
不規則に脈打つ心臓に、一時息が詰まる。
視界に留まった木柵に歩み寄り、もたれ掛かった。
幸い人気はない。
ほんの暫くこうしていれば、いつものこと、直ぐに治まる。
そして思った通りに治まると、郭嘉は徐に身体を起こした。



「奉孝?こんな所で何をしている?」



前触れもなく声がしてそちらに視線を向けると戯が不思議そうな顔をして此方へ歩いてくる。
鎧を纏ってはいるが、兜は被っていなかった。
寄りによって、などと思いながら郭嘉は咳払いを一つすると、戯を見て言った。



「何もしておらん。星を見ていた」

「……あまり、顔色が良くない。どこか悪いところがあるんじゃないのか?」

「こんな暗がりで顔色が悪いも何もあるか」



そうつんとして郭嘉が返すと、戯はあからさまに眉根を寄せ、一度口を噤んだ。
だが、すぐに口を開く。



「人が心配してるって言うのに、その言い方はないだろ。暗いにしたってそう見えるから聞いたんだ」

「そうか…それは、悪かったな」



普段らしからぬ言葉に、戯は内心面食らいながら、同時に一抹の不安に駆られた。
当てずっぽうに言っただけだったが、本当に、どこか悪いんじゃないか、と。
一方の郭嘉は、下手に隠しても余計な詮索をされるだけだ、と思い至る。
誰かに知られるにしろ一番知られたくない相手だったのに、と思いながら今一度、口を開いた。



「何、どうということはない。最近少し、疲れやすいというだけだ。気にするほどでもない」

「…本当か?今、おまえに倒れられたら困るんだ。主公だって頼りにしている……無理が祟る前に今の内に休んで…」
「それは必要ない」



郭嘉はほんの少し声を張って、戯の言葉を遮った。
まっすぐ戯の瞳を見つめる。
暫く、お互い無言のままそうしてから、再び郭嘉は戯に言った。



「最近はことに身体を動かすことが減っていたから、久しぶりの行軍続きで疲れが出ただけだ。それに、今休むわけにもいかないだろう。自分の立場は重々承知だ、兵の士気に関わる。そのぐらい、だって分かっている筈だ、違うか?」

「……それは、そうだが」

「そんなことよりいっそ、あの文醜を討ち取った殿がその身体を生かして一晩中、この俺の相手をしてくれた方が疲れも吹き飛ぶってものだ。それが毎晩なら、俺だって嫌でも体力がつく」

「…この、ばっ……!」



思わず顔を赤らめて言葉に詰まる戯を郭嘉は涼しい顔で下から覗き込むように見上げた。
ただし、戯が顔を赤らめたのは怒りからのものである。
郭嘉はそんな戯に向けて、満面の笑みを見せた。



「どうだ?妙案だろう?」

「どこがだ!」



拳を振るわせる戯を尻目に、郭嘉はふいと背を見せる。



「一緒に来ないのか?



歩みながら視線だけ戯に向けた。
はといえば、その場に留まり肩を震わせている。
郭嘉は足を止め立ち止まった。
そのまま出方を伺っていると間もなくして、ゆっくり休め、とだけ言い残し去っていく戯の背を郭嘉は一人眺めていた。
それからもう一度、夜空を仰ぐ。
やはり、薄っすらと雲がかかっている。
霞の向こうで星が瞬いていた。



「本気で俺も、体力をつけるしかないな」



原因は分からない。
ただ、疲れが溜まっているのだろう。
いつか言った医者の言葉を思い出した。
考えすぎても仕方がない、と郭嘉はもう一度、深くため息をついた。




















「漢寿亭侯とは…もう易々と雲長殿、だなんて呼べないな」

「…殿」



官渡へと引き上げる路すがら、唐突に声をかけられ関羽は首をそちらに向けた。
馬首を並べるようにして後方からやってきた戯の横顔を見やる。
今年の夏は早くも暑い。
兜は部下に預けているようだった。
関羽は視線を正面に戻すとそのまま口を開いて言った。



「それでも貴女は俺を変わらず呼ぶのだろう?」

「礼儀を弁えず、申し訳ない」

「構わぬ。俺もきっとそうするだろう」



正面を見たまま、関羽はそう口にした。
それから間もなく、唐突に戯が声を上げて笑い出す。
関羽はそれを無言のまま、しかし予想外の反応に、僅かに目を見開いた。
暫くして笑いを収めると、戯は愉快そうに笑みを浮かべ言う。



「安心してくれ、万が一にも私がその立場になることはない。断言してもいい」



言いながら、関羽を見やる戯の表情は清々しい。
関羽はどこか、安心感を覚えていた。
嫌味は全くない。
だからと言って、そこに押し付けがましい思いが込められているようにも感じられない。
己は変わったか。
そう頭の片隅で思いながら、遠くの山を見つめた。



「さようか。…しかし、貴女の武は矢張り素晴らしい。いつか、その言葉が覆される日を俺は待とう」

「全く…戯れを」



どこか優しさが込められている。
耳に届いた戯の言葉に、関羽はふっと笑みを作った。
もまた、関羽と同じように路のずっと先にある山の際を見つめ、穏やかに目を細める。
二人の先には後方にも、官渡を目指す行軍の列が伸びている。

官渡に着けば早々に、関羽は劉備の元へ去ろうと考えていた。
白馬から延津へ向かう途中、文醜の率いる軍と衝突した折、同時に劉備とも邂逅したのだ。
ただ、直接言葉は交わしていない。
劉備と視線を交えただけだった。
それでも、それだけで良かった。
関羽にとっては、劉備が無事でその居所が分かっただけでも十分だった。
あとは約束通り、曹操に一言告げて糜夫人らと共に劉備の元へ参じるだけだ。
万が一、それを阻まれたとしても諦めるつもりはない。
心に決めていることだ。

過日、張遼が自分のもとを尋ねてきたことを関羽はふと、思い出した。
曹操のことをどのように考えているか、と質問するので、率直に答えた。
心遣いには深く感謝しており、恩には義を以ってお返しするつもりでいる。
ただし、劉備を裏切ることは出来ない、と。

関羽は我に返ると戯を盗み見た。
背をぴんと張り馬に揺られるその姿は、まるで青年のようだ。
下邳で軟禁していた同一人物だとは、やはり思えない。
だが、幾日も目にしていたその姿が重なって見える。
俺は、何を考えている。
再び行く先に視線を戻した関羽の胸には、その疑問がぐるぐると巡り続けていた。














つづく⇒



ぼやき(反転してください)


見落としが色々ありそうだけど
割愛…!
官渡が終わったら烏丸か…

2019.01.11



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